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倉持麟太郎
2022.7.16 11:56

安倍改憲はおしまい!あなたは立憲主義派?民主主義派?

今週の倉持麟太郎「このクソ素晴らし世界」では、選挙後、にぎわっている憲法改正にのゆくえについて。

熟議する気もなく改憲発議「できるだけ速く」と言ってみたり、相変わらず何の意味もない「改憲勢力3分の2」というワードを振り回す与党とメディア。そして、それに力なく「反対」一点張りの野党。

そこに、安倍晋三氏銃撃事件があり、理性的な憲法論議がなされないムードがプンプンしてきましたので、こんなときだからこそ、自民党が提案する「自衛隊明記」=「安倍改憲」を採用できない3つの理由を論じました。

簡単にいうと、

①それ自体が掲げる目的(違憲性払拭&自衛隊の誇り)を達成できない

…戦後レジームからの“脱却”どころか“固定化”

②「何も変わらない」というのが嘘=政府の解釈を変えて自衛隊を戦力として統制できないままに無限定な活動を許してしまう

③9条の抱える根本的な問題(「自衛隊はライオンでなく猫」問題)を放置している

これに尽きます。

また、軍事に関する統制を民主主義(政治部門=時の多数派、法律・政府解釈)と立憲主義(憲法、あるいは裁判所)でどれくらい配分するのか。それはその国の地裁学的なロケーションやその時々の国際情勢、または本当に現実的にそんな武装ができるのか等々と共に議論しなきゃいけないことでしょう。

このあたりを総合的に論じてこそ、次に条文の在り方に移るんだと思います。割と立憲主義ベクトルの一例として、ドイツ基本法(憲法)における規定ぶりを紹介しました。

その意味では、9条はもはや立憲的な文脈では死文化していて、実質的には自衛隊は自衛隊法や安保法制、そして政府解釈という民主主義的文脈(政治部門)に位置づけられるものであると考えます。

民主主義が暴走したから戦争が起こったんだ、という理解が9条の出発点の1つだとすれば、軍事的な舵取りを民主主義=政治部門にここまで丸投げしてていいんですかね?

「いや、それでも9条があるから必要最小限度…」というのは、もはや政治権力が「気まずさ」を覚える程度の規範であることを認めてるようなもので、念力の世界でしょう。

9条は統治の条文なはずで、統治の条文は人権規定のように解釈の幅は本来広くありません。

9条のどこをどう読んだら必要最小限度なんて読み込めるんでしょうか。明らかに解釈の限界を越えています。そしてその解釈をしているのは私たち主権者ではなく政治部門とりわけ時の内閣であるということを忘れてはいけないでしょう。

とりあえず、これで安倍改憲は葬ったということでよろしくお願いします。

さて、あなたはどんなビジョンを描きますか?

詳しくはコチラの動画で! 雨の週末に是非どうぞ♪

https://youtu.be/Lk-0irBSMxs

倉持麟太郎

慶応義塾⼤学法学部卒業、 中央⼤学法科⼤学院修了 2012年弁護⼠登録 (第⼆東京弁護⼠会)
日本弁護士連合会憲法問題対策本部幹事。東京MX「モーニングクロ ス」レギュラーコメンテーター、。2015年衆議院平和安全法制特別委員会公聴会で参考⼈として意⾒陳述、同年World forum for Democracy (欧州評議会主催)にてSpeakerとして参加。2017年度アメリカ国務省International Visitor Leadership Program(IVLP)招聘、朝日新聞言論サイトWEBRONZAレギュラー執筆等、幅広く活動中。

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